六本木ヒルズ展望台 東京シティビューで開催された「スカイ プラネタリウムI」(2010年11月26日~2011年2月13日)で初披露した作品です。東京に見立てた白模型の町にあらゆる角度から映像を投影し、一日の変化を表しました。ひとつずつ点灯していくビルの窓明かりや、走る車のテールランプ、ビルの航空障害灯、そしてもちろん空の移り変わりまで、細部までこだわりリアルに再現しました。
当時はまだ“プロジェクションマッピング”という言葉が普及していませんでしたが、今思い返せば、それに先駆けて行った試みと言えます。
この作品が生まれたきっかけは、森ビルさんが保有する広大な範囲に及ぶ都市模型を見せていただいた時に、大平貴之が「この町に車を走らせたり、ネオンを点滅させたりしたい!」と思い立ったことです。早速会社に戻って、簡易模型を作って実験。下記の写真を森ビルさんにお送りしたら、担当者さんたちも興奮して、すぐ企画化が決まりました。
まだプロジェクションマッピングという概念がない時代でしたので、プラネタリウムドームで培った、数台のプロジェクターで全天周映像を映し出す技術を応用し、独自の計算と技術で実現を図りました。ネオンの点滅や車の走る速度なども不自然にならないよう、大平が実際の町の夜の映像から数値を割り出しました。時々、スピード違反でパトカーに追われる車が出現するなどの隠しネタも入れ込みました(気づいた人がいるか不明ですが…)。航空障害灯は赤いLEDを模型にくっつけました。
そして、背景に映し出された夕日が沈むと、MEGASTARの星が点灯し、星座たちが現れ、そして日の出とともに消えていくという、東京の一日を再現するストーリーが出来上がったのです。